国境とカジノの町 アランヤプラテート (その1)

 タイ国で就職活動をしている友人君(男性33才)。1ヶ月にわたる努力も実る事無く、査証の有効期限も後僅か。(日本人はビザ無しで30日間滞在できるので)「そろそろ一回国外に出ないといけないねぇ。」等と話している矢先にSARS問題が発生し、当初計画していたマレーシア国境への列車の旅は急遽断念。カンボディアと国境を接するアランヤ・プラテート迄行ってくると言うので同行する事にしました。既に1日オーバー・スティをしており、「国境が閉鎖されていた日には人生終わりだな。」と深刻な表情(実際にはオーバー・スティ1日当り200バーツの罰金を支払えば問題無く出国できます 。<2003年4月現在>)

 H君と小生を乗せた車はバンコクとチョンブリ間をつなぐモーターウェイから国道304号線を経て、国道33号線に入って から約100km(バンコクを出てからの所要時間は約4時間)、国境の街アランヤ・プラテートに到着しました。

 市内から国境迄は約6km。国境は貨物通行用のゲートと、人が通行できるゲートに分かれており、人用のゲートは貨物車輛用ゲートを正面に見て左折、国境市場のはずれにあるコンビニ(カンボディア国内の過酷な道程を旅してきた何人の旅人を癒してきた事でしょう。)の先にあります。到着した時間が午後3時過ぎと遅かったこともあり、国境を超える人影はまばら です。

  

 タイ側から戻るカンボディア人夫婦でしょうか?「何とかお願いします。」「今回だけだぞ。」というような微笑ましい光景を横目に(例の暴動騒ぎもあったので念の為)カンボディア入国ビザの取得可否について問合せた後、イミグレーションにパスポートを提出するとすんなり出国印を押してもらえ、難なく出国完了。ちなみにH君はオーバー・スティ1日分 200バーツを徴収されました。

   

 国境の中の国境?(つまり国境地帯の中にある本当の国境と言う意味です)“イギリスが経済支援を行い、タイ国がカンボディア国の為に1993年に建設した友好橋”と書かれた何の変哲も無いコンクリート橋を渡ると、そこにはアランヤプラテート市内でもお目にかかれぬような立派な建物が林立し賑やかな看板が。そこここに掲げられた別世界。Border Police(国境警察)と厳めしいスティッカーを貼りつけたバイクの隣に立っているお兄さんに状況を聞いたところ、「 ここには7箇所のカジノがあるよ。3月21日に国境が再開されたけど、お客さんはまだ少ないね。」との事。やはり未だ暴動(#1)の余韻が残っているのでしょうか ?

   

 友好橋を渡って左に折れる道沿いに建つ3件、カンボディア国境への続く道沿いに建つ4件のカジノを一通り見学した後、タイ国内への入国管理事務所へ戻り、入国書類に必要事項を記載の上、提出したところ、担当官より「カンボディア国への出入国記録が無ければ、タイ国への入国は認められません。」と言われて愕然。時計は既に4時を回っており、急いでカンボディア側へ戻り、査証申請(#2)、入国審査(#3)を経てカンボディアへ入国。その後、とんぼ返りで入国管理事務所の反対側に位置する出国管理事務所へ移動し、カンボディア出国手続き、タイ国への入国手続きを終え無事タイ国内に戻ってきました。<トモフミ>

 

#1 暴動事件

「タイ国の某有名女優が、(カンボディア国民の統合の象徴であり、誇りでもある)『アンコール・ワットは元々タイのもの。』と発言した。」との風説に激昂した一部カンボディア国民が在カンボディア・タイ王国大使館を焼き討ちにしたり、タイ製品の不買運動を行う等、大規模な反タイ運動に発展したもの。

 

#2 査証申請

査証申請費用=1,000バーツ

バンコクのカンボディア大使館・領事部では査証申請費用=1,000バーツ又は20米ドル(03年4月現在の換算で900バーツ弱)となっており、おそらく米ドルを持っていかれたほうがよいでしょう。写真を持っていない場合は追加100バーツ(これは何代でしょうか?)を要求され、支払わぬと査証を出さぬと恫喝されます。ここで査証発給を拒否されるとタイ国内にも戻れず、カンボディアにも入れぬことになります。写真を忘れた人は涙を飲む

しかないでしょう。(そんな大袈裟な話でもないか?)

 

注意@ 査証申請窓口付近に行くと、さも係員のような顔をした人間が近づいてきてパスポートを預かり勝手に必要事項の記載を行ってくれますが、当然後から金を要求してきます。小生の場合は20バーツで済みましたが、後で聞いた話では旅行者の方の中には100バーツを取られたという人も。査証申請書類並びに入国書類は自分で書くようにしましょう!

 

#3  カンボディア国・入国審査

入国する人が少ないのか?係員は大鼾。暫く係員を呼び続けていると子連れ係員が現れ、「これから何処に行きますか?」と当り触りの無い質問。「カンボディアに入国後、直ぐにタイ側に戻る。」と応えると「その場合は100バーツ支払わねばなりません。」との事?!?! 暫く交渉を行っていると何も言わずスタンプを押してくれて無事入国はできましたが、先の査証申請と言い、入国審査と言い、カンボディア国に対して非常に悪い印象を持ってしまいました(小生が軟弱なだけかも知れませんが、、、)。

 

注意A 上記手口は某大御所ガイド・ブックにも(金額こそ記載ありませんが)載っており、かなり以前から同様の手口で無垢の旅行者から金を絞ってきたのでしょう。同様の法令が制定されたとの話はついぞ聞いた事が無く、きっぱりと拒否しましょう!

 

注意B タイ側・カンボディア側共、国境を通行できる時間は午前7時30分から夕方5時迄となっています。

 

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