洞窟の中の寝仏

 バンコク中心部からラーマ9世橋という大きな吊り橋を渡り、ラーマ2世通り(国道35号線)をただひたすらに西南に向かって走ります。2時間も走ると、サムット・サコーン県を越えてサムット・ソンクラム県に入ります。その次はペッブリ県と思いきや、ほんのちょっとだけラチャブリ県に入ったあたり、パクトー(筒の口)というところでラーマ2世通りはウォンウェンヤイからはるばるやって来たペット・カセム通り=国道4号線と合流し、お役ご免?となります。

 このあたりはなぜか毎年10月くらいになると洪水で道路が冠水するので有名です。地図でもおわかり頂けるとおり、西側に山が迫り、東側はすぐ海ということで、山からの水に悩まされる地形のようです。どうやら、これらの山というのは石灰岩質のようで、いくつかの洞窟が出来ているそうです。それらの中で、洞窟の中に沢山の仏様を安置したカオ・ヨイ洞窟というものがあるそうなので尋ねてみました。実はこの時、仕事でペッブリの少し先に行く途中だったのですが、同行のタイ人スタッフが「せっかくここを通るのでタム・ブン(お寺などに喜捨して徳を積むこと)をして行きましょう。」と誘うので初めて知った次第です。

 街道(国道4号線)をはずれて左の方に入ってゆくと、何やら小高い山の麓のお寺が出てきて到着です。おそらく高さは数百メートル程度と思いますが、石灰岩の白い山肌が所々に露出しています。駐車場のまわりにはなぜかお猿さんが沢山。数十匹はいるだろうという感じです。タイでは動物がいれば、必ずそのエサを売っている人がいる、というわけでお猿さんのエサのバナナを売る屋台がいくつも軒を連ねています。バナナはなんと一房20バーツ(60円)、一房ですよ、1本じゃありません。

 

 早速お猿さんの餌付け?に挑戦してみましたが、こちらがバナナ屋台に近づいて行く瞬間からもう、お猿さん達は状況を察知してド〜っと集まってきます。「買わなかったらタダじゃ帰さないからな!」みたいな雰囲気が漂っています。よく見ると何となく体の大きな連中から屋台の方に集まってくる感じです。子供を抱えたお母さんザルや小さい小ザルなどは遠くの方から見ています。判官贔屓の小生ゆえ、買ったバナナは1本ずつうんと遠くに放り投げてやりました。そこここで奪い合いのケンカが起きましたが、2〜3分でそれも解消、それほどがっついた連中でもないようです。次から次へと観光客がやって来てエサをくれるのでしょう。

 

 さて、肝心の仏様の方ですが、石段を少し登ったあたりに扉のような入り口のようなものが出来ています。その横には釣り鐘が沢山並んでいます。(といっても日本のお寺の鐘と比べると随分と小さいのですが。)

 この石段の下のところで皆さん靴を脱いでいるようなので我々も見習いました。タイのお寺は時々何処まで土足で上がっていいのか解らない場所があって困ってしまう事がありますね。

 

 中へ入るといきなり寝仏が鎮座しています。体長?15mくらいと思われますが、とても狭い洞窟の中なので、距離を取ることが出来ず、うまく写真に収まってくれません。体の一部を撮影するのが精一杯です。なお、中には裸電球が沢山ぶら下げてあって意外と明るくなっていました。

 この洞窟の中には、他にも所狭しと仏像や仏画が飾られています。ちゃんとお坊さんがいて、「ここから下に階段をおりると○○がありますよ〜。」などと案内?してくれています。

 中でも、外国人である小生を意識してか「ちゃんと拝んで行きなさいよ。」と言われたのが、左の仏足石です。お釈迦様の足形を取ったということになっていますが、もちろんレプリカで、今では参拝者の貼る金箔だらけで何だか形がよくわからなくなってしまっています。

 偉大なお釈迦様の足は1メートルほどもあったというお約束事になっていますが、仏足石というものは大変歴史が古いそうで、仏教寺院というものが出来る前から、「ここにお釈迦様がおられると思って拝みましょう。」という信仰の対象だったそうですよ。<うどん谷>

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